
島を訪問してくれた友人を案内していて困るのは、真謝集落から下阿嘉への県道を走っている時である。「このコンクリートの柱は、何ですか?」と聞かれる。なんとも答えにくいので、この地域に伝説として残る(かもしれない)三羽の鳥の問答の話をお聞かせする。

鷺「橋の橋脚だよ。」
烏「橋の橋脚であることは解るけれど、どうしてこの場所に立体交差が必要なんだ?」
鷺「立体交差ではなく、今の道を新しくするんです。」
烏「今の道で十分じゃあないか。」
鷺「勾配やカーブを緩和するために。」
烏「この程度の勾配、今時、荷馬車や、人力車で上がるわけでもあるまいし……。」
鷺「久米島マラソンの時、この坂道がきつくて、これがあるから、参加者が減る。少しでも平坦にしなければ、、、ああ、そうか、マラソンのコースはもう変更してしまったのか。」
烏「お金の無駄遣いじゃない?これまでの道でも通行に困ることはないのだから、今からでも、工事を止めたら、これ以上に税金をつぎ込まなくてすむよ。」
隼「工事のために、かえって、急カーブが増えて、通りにくくなったけれどね。」
鷺「県道だから、県が決めたことだから、ぼく、よくわからないよ。でも、今、工事を止めたら、建設会社が困るよ。それに、完成したときには、今よりも素晴らしい展望が開ける。」
烏「景色を見るだけならば、近くに展望台を作ったほうが安上がりではないか。それに、ドライバーが見とれて、ハンドル操作を誤り、車が道から飛び出したらどうする?」
鷺「展望台も造っているんだよ!それに、危険なら、防護用網を張ればいい。」
烏「金網越しの景色なんて最低だね。それから、台風の時、現在の道ならば徐行する程度で走行可能だけれど、これが、橋の上になると、危険防止のため通行止めになるのではないか?」
鷺「そのために現在の道も通行できるようにしておけばいいさ。」
隼「何年くらい前に計画着工され、何年に竣工するのかわからないが、完成した時には、真謝や登那覇公園からみた風景は、およそ自然の景観を売り物にしようとする久米島とは違った、本土や沖縄本島でよく見られるような近代的な風景に変身することだろう。」
烏「道の両側に林や松並木がある現在の道のほうが風情があっていいよね。久米島らしい。お金は、むしろ、その整備に使えば良かったのに。」

隼「この事業を発案、提案した人、またはコンサル会社の名、それを決済した人の名、希望があるならば、賛成した人々の名を、橋脚にでっかく記してはどうだろう。とてもよい記念になると思います。」
鷺「ぼくは、このような工事(公共事業)そのものが必要だったのだとは思わないよ。住民の皆さんが必要だと言ったんじゃない?」
烏「住民の皆さんに聞いてみるといい。」
隼「以前、旧仲里村時代に、役場のロビーに、この橋の名前を募集することがあったが、あれは今でも継続して公募中なのだろうか。台風の時には、道路に降った雨が、橋の上からひげのように吹き揚がることから、『阿嘉のひげ道』と名付けられるかもしれない。観光名所が、また一つ増える。」
三羽の鳥は、ぼそぼそと話をしただけで、それ以上は当たらず触らず、それぞれのお家に帰っていった。












