
ダルマ山園地のはずれ、自衛隊基地へと続く道の右側に、「島地の森散歩道」と書かれた看板があって、右のアスファルトの道を少し入ったところにゲートがある。このゲートは通常は閉じられていて、入るときには、ゲートの両側から、多少の後ろめたさと、禁を破るある種の快感を重ねたなんともいえぬ気持ちですり抜けるのだけれど、最近は、なぜか開いている。もっとも、この道の手前の駐車場の奥からも入ることができるが。

ここには、かつて自然の森だったところを切り開いて作った遊歩道があるのだが、雑草が生い茂って元の状態にもどりつつある。よく見ると、草や枯葉の下には幅2mほど砂利が敷かれてあり、偽木で作った縁石も見つけることができる。蜘蛛の巣を払い、足で道を探り、雑草をかき分け、センダングサの種をズボンに付けながら、左に曲がって、数段の階段を下りて少し行くと、ゲートから続くアスファルト道に出る。より自然に近い状態で、森の散策を楽しめるように演出しているに違いない。行政もなかなかやるなあと思う。

「散歩道」であるのに、アスファルト舗装しているのは、ちょっといただけないが、私は、この道が好きだ。数年前、偶然ここに来たのだが、小規模な土木工事をしていた。何をしているのか見てみると、それまであったU字型側溝を、皿型側溝に付け替える工事をしていたのだ。森の小さな生物が側溝に落ちてもはい上がれるようにという配慮、これは、素晴らしい工事だと思った。このような皿型の側溝は、もう少し深みのあるものを北海道の公園の中の道で見たことがある。このように自然に配慮した道は、久米島では、ここだけだ。島中の幹線以外の道を、このように変えたなら、多くを語らずとも、島に住む人々の優しさを表現することができるのに。第一、不器用な私が、車を走らせるとき、草で覆われたU字側溝に車輪を落とさないようにと気を遣わずに済む。
両側から木々が生い茂り、緑のトンネルを造っているアスファルトの散歩道。本島北部、やんばるの森を思わせるこの道を、チョウと戯れながら10分ほど歩くと、左の木立の間から湖が見える。ここが島であることを忘れる風景だ。
【追記】
11月3日の夕方、また「島地の森散歩道」に行ってみると、ゲートはいつもの通り、閉まっていました。やっぱり、入ってはいけなかったのかなあ・・・。

